ここではパーソナルトレーナー向け資格を独学で取得する場合のメリット・デメリットを解説しています。
パーソナルトレーナーの資格は独学でも合格すれば取得することは可能です。資格によっては高卒以上でCPR(心肺蘇生法)およびAED(自動体外式除細動器)の講習を受けていることなど条件がありますが特に大きな障害にはなりません。
ただ養成スクールや専門学校に通っている場合と比較して不利になる点はいくつかあり、独学で資格を取得するのは容易ではないことは理解しておくべきです。
例えばパーソナルトレーナー資格の養成認定校では受けなければいけない講習が免除されたり、トレーニングジムで実践体験することも可能ですが独学ではそうしたことは一切ありません。
受検資格として専門学校や大学の卒業や、スポーツ現場での実務経験を求められるケースもありますので、場合によっては試験を受けることができないことも考えられます。
また仮に独学により知識だけで資格取得ができたとしても、実際にクライアントへ指導する経験がなければ即戦力としてパーソナルトレーナーの仕事をすることは難しいでしょう。経験者でないかぎりスクールで多くのことを学ぶ方が近道です。
独学での資格取得は通学と比べてどのようなメリット・デメリットがあるのかを整理してみました。
パーソナルトレーナーの資格を独学で取得している人はいます。しかし実際には過去にスクールで勉強経験があったり、フィットネスクラブでアルバイトをして知識だけで不足する部分を補うなどしないと難しいでしょう。
とりあえず資格だけ取ればあとは何とかなるという性質のものであればよいですが、パーソナルトレーナーにおいて資格は一つのアイテムにしか過ぎません。
独学で資格取得を目指すのは自由ですが、その先にある自分の理想とするパーソナルトレーナーに近づくために何をすべきかを考えた上で進めないと、資格取得の意味を見失うことになるので要注意です。
パーソナルトレーナーにおすすめの資格の中から、独学でも取得できるものを3つ、取得方法を含めて詳しく紹介します。
PFT (プロフェッショナル・フィットネス・トレーナー)は、アメリカの資格認定団体NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)による認定資格です。後述する2つの資格と合わせて、パーソナルトレーナー三大資格の一つに数えられています。
NESTA-PFTは国際的に認知された資格なので、取得することにより、世界で通用するレベルの信用を得ることが可能です。
NESTA-PFTの資格取得を通じて、科学的根拠に基づいた「優れたトレーニングプログラムを作るスキル」だけでなく、パーソナルトレーナーとしてクライアントと適切なコミュニケーションをするために必要な「ビジネススキル」も身につけられるというメリットもあります。
NESTA-PFTの資格取得までの流れとして、NESTAが公式に、以下の3つのコースを用意しています。
3つのうち、独学での資格取得に該当するのは「ダイレクトコース」です。養成講座などを受けずに、直接受験します。
残りの2つはNESTA公式の養成講座を受講し、その終了時に受験するというものです。「ゼミコース」は講座を開いている会場へ出かけて受講し、「WEBコース」はネット上で受講します。
NESTA-PFTの試験を受験するには、以下の条件全てを満たしている必要があります。
上記の必須項目に加えて、以下の4つの項目のうち最低でも1つを満たしている必要があります。
つまり実務経験がある人や、専門系の学校を卒業していない場合は「4」を満たすために養成講座、養成コースを受講する必要があり、「ダイレクトコース」は不可になるので、独学での取得はできません。
NESTA-PFTの試験は、ほぼ毎月の中旬ごろに実施されています。試験を実施する月の始めごろに申込締切が設定されるので、それまでに申込めば受験できます。
教材の購入費を含めた合計の費用については、以下のようにコースによって異なります。前述のとおり受験資格には「教材の購入」が含まれているので、教材の購入費用を含めて受験費用を考える必要があります。
ダイレクトコース | 72,500円(税込) |
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ゼミコース | 168,500円(税込) |
WEBコース | 107,500円(税込) |
CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)は、NSCAジャパン(日本ストレングス&コンディショニング協会)による認定資格です。パーソナルトレーナーだけでなく、スポーツ指導者や理学療法士、柔道整復師などが取得する資格とされています。
NSCA-CPTもアメリカに本拠地のある組織による国際的な認定資格なので、国際的に信頼されるスキルを身につけていることの証明となるものです。
健康と体力に関する「評価・動機づけ・教育・トレーニングやコンディショニング全般の指導」を行うスキルを身につけることを目的としています。トレーニングの知識だけでなく、医学、運動生理学などの知識が身につく資格です。
NSCA-CPTが用意している講座コースなどはありませんが、公式の教材を活用して学習を進めることができます。専用のテキストと問題集だけでなく動画も用意されているので、分かりやすく学習可能です。
専門的な知識があるかどうか、実戦経験があるかどうかによって重点的に学習すべき項目が異なりますが、公式サイトにはそのような現在の自分のレベルに合わせた学習方法の提案も書かれているので、効率的な学習ができるようになっています。
NSCA-CPTの認定を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
NSCAジャパンの会員になるための入会金は不要ですが、1年ごとの年会費が必要です。正会員は13,200円、学生会員は11,000円の年会費が毎年必要になります。
NSCA-CPTは特定の試験日を定めているわけではなく、受験者が会場と日時を選べるようになっています。出願手続きが完了してから120日間の受験期間が設定され、この期間に1回、希望する日時に受験可能です。
インターネット上で出願をしてから1~2週間後に案内メールが届くので、メールの内容に従って、希望する会場と日時を指定します。
出願手続きを完了するには受験料の支払いが必要で、クレジット払いかコンビニ払い、ペイジー払いが選択できます。受験料は46,000円です。
受験料 | 46,000円(税込) |
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JATI-ATI(JATI認定トレーニング指導者資格)は、JATI(日本トレーニング指導者協会)による認定資格です。「あらゆる対象や目的に応じて、科学的根拠に基づく適切な運動プログラムの作成と指導ができる専門家であることを証明する資格」とされています。
前述の2つの資格とは異なり、JATI-ATIは日本の組織による認定資格ですから、日本のニーズにそった適切なスキルを身につけていることのアピールとなる資格です。
また備品の割引購入ができるようになることや、損害保険の団体加入、JATIから提供される最新情報など、さまざまなサポートも受けられるというメリットもあります。
JATI-ATIは基本的に、まずは公式の養成講習会を受講して、その終了後に認定試験を受けるという流れです。公式の学習教材も用意されているので、講習会を受ける前に必要な知識を確認できます。
公式の養成講習会を受ける代わりに、JATIが認定するトレーニング指導者養成校・養成機関で学習することも可能です。
前述の「NSCA-CPT」の資格などを持っている場合は、養成講習会の受講が免除されるので、独学での資格取得が可能です。また理学療法士や作業療法士などの資格も持っている人については、養成講習会のうち「一般科目」だけが免除されるという制度もあります。
JATIの個人正会員になるには年会費の10,000円が必要です。前述のとおり、一定の条件を満たす人は「2」が免除になります。
養成講習会が毎年8月ごろに開催され、10月~翌年3月の間に3回開催される試験のいずれかを受験するという流れです。東京だけでなく沖縄や北海道を含め、さまざまな会場で開催されているので、最寄りの場所で受験できます。
養成講習会に申込みできる期間は4月~7月ごろです。
受験費用は税込32,400 円ですが、養成講習会を受ける場合は、教材費を含む受講料として以下の費用が別途必要になります。
養成講習会一般科目 | 50,000円(税抜) |
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養成講習会専門科目 | 55,000円(税抜) |
受験費用 | 30,000円(税抜) |