まずは「栄養士」と「管理栄養士」の資格の違いを確認しておきましょう。
都道府県知事から免許を与えられる栄養学のスペシャリスト。栄養士養成学校(4年制大学・短期大学・専門学校)を卒業すれば、試験を受けることなく免許を取得することができます。
厚生労働大臣から免許を与えられる栄養学のスペシャリスト。4年生の管理栄養士養成課程を卒業し、かつ試験に合格しなければ免許を得ることができません。栄養士の免許を取得後、3年の実務経験を経た者についても、管理栄養士の受験資格が与えられます。
以下では、管理栄養士も含めて「栄養士」と表記します。
パーソナルトレーナーの仕事は、お客さんが望む理想の体型へと導くこと。理想の体型に導くためには、トレーニングはもとより、食事指導も必要となります。
ところが多くのパーソナルトレーナーは、ジムに入社時、専門的な食事指導をできるほどの栄養学の知識を持ちません。よって採用側では、新入のトレーナーに対し、人件費や教材費などを使い、最初から栄養学の研修を行う必要があります。
その点、栄養士は研修がなくとも、初めから栄養学の知識が豊富。採用後のコスト削減にもなるため、栄養士の有資格者は重宝されるのです。
パーソナルトレーナーとしての栄養士は、どのような仕事を行うのでしょうか。主な仕事内容を2つ紹介します。
栄養士の資格を持つパーソナルトレーナーは、栄養バランスに関する専門知識を用いて、クライアントごとに適した食事メニューの提案を行います。
効果的なトレーニングには食事の内容が密接に関係しています。トレーニングの内容に応じて、適切な食生活についても、クライアントに指導し、食事メニューのアドバイスをする必要があるのです。
メニューの内容だけでなく、食事のタイミングや生活習慣などに関するアドバイスをすることも重要ですから、栄養素に関する専門知識を持つパーソナルトレーナーが必要とされています。
クライアントに提案した食事メニューを実践してもらうためには、高いコミュニケーション力も必要です。
ジムによっては自社オリジナルのスムージーやプロテインなどの商品を販売している場合があり、栄養士の資格を持つパーソナルトレーナーがその開発を監修することがあります。
そのような会社で働く栄養士は、商品開発のための企画力・発想力も必要とされるでしょう。
栄養士の資格を持つパーソナルトレーナーは、資格を持たない他のトレーナーの知識向上のために、セミナー講師を頼まれることがあります。
食事と栄養に関する専門的なセミナーによって、専門知識の不足したトレーナーのスキルアップが期待できますから、栄養士の資格を持つ人を採用することには大きなメリットがあるのです。
セミナーで講師を務められるように、栄養士としての専門知識だけでなくプレゼン力も磨いておきましょう。
上述のとおり、「栄養士」は試験なくして免許を得ることができます。一方で「管理栄養士」は、国家試験に合格したのちに免許を得る流れとなります。
6,800円
60.8%(平成29年度)
なお、新卒の管理栄養士課程の合格率は、95.8%となっています(平成29年度)。
ジムへの「入社」においては有利とされる栄養士の資格ですが、入社後、かならずしも有利に働き続ける資格とは言えません。
たとえば、仮に栄養士の資格を持っていたとしても、パーソナルトレーナーとしての実力がなければ、会社の専任栄養士に転属させられるかも知れません。そうなると、ジムで長く活躍するためには、栄養学の知識よりも先に、まずはパーソナルトレーナーとしての実力を磨くことが大事です。
パーソナルトレーナーが栄養士の資格を取得することで優遇され、収入が高くなるのでしょうか?栄養士の資格と収入の関係について解説します。
栄養士の資格を持つパーソナルトレーナーに対して、資格手当を出してくれる会社なら、収入が高くなります。収入が上がるかどうかについては、会社の規定や従業員の募集要項などを確認してみましょう。
また栄養士としてセミナーの講師をした場合に、通常の給料とは別に、追加報酬をもらえる場合もありますから、その場合も合計の収入が高くなることがあります。
とはいえ栄養士の資格があっても、パーソナルトレーナーとしてのスキル自体が低ければ、収入アップにはつながらないでしょう。
本来の仕事であるパーソナルトレーナーとしての質が低く、クライアントからの評判が悪くなれば、いくら資格があっても意味がありません。むしろ収入が減ってしまうこともあり得るでしょう。
栄養士としての資格があったほうが有利に働く場合はありますが、パーソナルトレーナーとしてのスキルが高いことは大前提なのです。