健康運動指導士は、保健医療関係者と相互に連携しながら、幅広い人を対象に効果的な運動プログラムの作成と指導を安全に行える専門家です。
元々は国民の健康作りのために、昭和63年に厚生大臣の認定事業として創設されたもので、生活習慣病の予防や健康水準の維持向上に対して大きな貢献をしてきました。その後、平成18年からは公益財団法人健康・体力づくり事業財団による独自事業として引き継がれています。
健康運動指導士は運動経験のある人や若者だけでなく、高齢者や運動経験のない人などハイリスク者も対象にして、安全かつ効果的なトレーニング指導を行える専門家として、フィットネスジムだけでなく病院や福祉施設、介護予防事業などでも活躍しています。
平成30年12月1日時点で、全国で18,224人の健康運動指導士が登録されており、パーソナルトレーナーからも人気を集めている資格です。
健康運動指導士の資格を取得するには、健康・体力づくり事業財団が主催している健康運動指導士養成講習会を受講するか、財団認定の健康運動指導士養成校の養成講座を修了後した上で、それぞれ認定試験に合格し、健康運動指導士台帳に登録される必要があります。
また、健康運動指導士資格取得後も5年ごとに登録を更新する必要があり、更新には講習の受講が必要です。
健康運動指導士養成講習会は、すでに所有している資格などによって受講単位数や費用が異なります。
基本的には、理学療法士や作業療法士、歯科医師といった保険医療関係に関する国家資格を持った四年制大学卒業者や、医師・保健師・管理栄養士の資格所有者、また体育系の四年制大学の卒業者(見込み含む)などが対象です。
その他にも、日本スポーツ協会認定資格としてスポーツプログラマー、アスレチックトレーナー、フィットネストレーナーのいずれかの資格を所有している人か、日本フィットネス協会認定資格のGFIエグサミナーかGFIディレクターのいずれかの資格を所有している人であれば、最も少ない単位数で受講することが可能です。
※受講資格によって必要な単位数が異なり、それに応じて費用も変わります。
※必須条件ではありませんが、非喫煙者が望ましいとされています。
令和元年9月16日に実施された認定試験の合格者は66.4%となっており、およそ半分の受験者が合格しています。ただし、受験資格を持っている人は原則として一定以上の学習経験を有している人や何らかの専門資格取得者であるため、未経験者が個人で試験合格を目指すには相応の努力が必要でしょう。
健康運動指導士は保健医療関係者と連携してあらゆる人の健康作りをサポートできる専門家であり、その活躍の場は多岐にわたっています。 特に、高齢者などにも指導できる資格であるため、高齢化が進む社会でますますニーズが高まっていくと考えられています。
パーソナルトレーナーになるために、健康運動指導士は必ずしも取らなければならない資格ではありません。しかし、ハイリスク者にも指導できるという証は、パーソナルトレーナーの活動の幅を広げるために効果的といえるでしょう。