ここではNSCA-CPTの特徴や取得条件、難易度について説明。取得後の活躍の場についても紹介しています。
NSCA-CPTとは全米エクササイズ&コンディショニング協会(NSCA)が認可するパーソナルトレーナーの資格です。CPTとはCertified Parsonal Trainerの略で、試験では個別のアプローチを用いた評価や動機付け、トレーニング、コンディショニング全般の指導ができる専門的能力があることを認定します。
トレーニング指導の対象者はアスリートだけでなく年齢や性別、経験など関係なく幅広い層になります。そのためトレーニング知識の他に医学的、運動生理学的な知識やトレーニングの指導技術が求められます。国内のフィットネス業界でよく知られるパーソナルトレーナー向け資格となっています。
資格を取得するための条件としては、出願時に満18歳以上で高等学校卒業以上の者または高等学校卒業程度認定試験合格者であること、つまり学歴は高卒以上ということになります。またNSCAジャパンの会員(正会員、学生会員、英文会員)もしくは米国会員でなければいけません。
さらに出願時に有効なCPR(心臓蘇生法)およびAED(自動体外式除細動器)の認定を保持または受験日の1年後までにCPRおよびAEDの認定証のコピーを提出することも条件となっています。なおCPRおよびAEDの講習は近くの消防署(庁)で受講することが可能なのでそのためにスクールに通学する必要ありません。
NSCAジャパン会員になる申込方法は主に2つ。ウェブサイトから申し込む方法と、郵送で申し込む方法があります。すでに米国NSCA会員になっている方も、NSCAジャパンの会員になりたい場合は新たに申し込みが必要です。
申込書もしくは申込フォームに必要事項を入力して、クレジットカードかコンビニエンスストアで年会費を支払います。会員の有効期間は1年間です。1年間の年会費は、学生の場合で1万800円、正会員は1万2,960円、英文会員は1万8,360円です。
英文会員については申し込む前に別途事務局に問い合わせする必要があります。詳しくはNSCAの公式サイトで確認してみてください。年会費を払ったら手続き完了です。約2週間ほどで会員証が届きます。
CPTの試験時間は3時間。140問のスコアード問題と、15問のノンスコアード問題です。3つの選択肢から解答を選ぶ形式で、機能解剖学や映像問題・画像問題のほか、緊急時などの安全性に関する項目や法的諸問題について出題されます。
筆記だけでなく面談やテクニックに関することも出題されるので、面談を想定した対策も行いましょう。問題配分で多い分野は、プログラムプランニングとエクササイズテクニックです。どちらも問題全体の31%を占めています。試験日までにテキストと問題集で、知識を身に着けておきましょう。知識が心配な方は講座を受講することをおすすめします。
NSCAジャパンは、CPT試験に向けた受験用の教材を用意しています。試験では、それぞれの指導現場や学習経験に見合った対策が大切です。
CPT試験テキストや模擬問題集を利用して受験対策ができるほか、テキストと組み合わせて学習するWEBコンテンツもおすすめ。解剖生理学やバイオメカニクス、トレーニングに対する適応、栄養学について学べるでしょう。協会がすすめているのは機関誌からの情報収集。バックナンバーで紹介されているストレングスや、コンディショニングに関する知識も学習しておくと役立つそうです。
NSCAジャパンの公式HPから、受験用の教材と対策講座を入手できます。テキストは主に2つ。「NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識」と「NSCA-CPT受験用問題集セット」。どちらも会員価格のほうが安くなっているので、会員になってから購入するのがおすすめです。
そのほか、受験対策用のWEBコンテンツや会場での受講もあり。WEBコンテンツはテキストと合わせて学習できるようになっており、解剖生理学やトレーニングに対する適応、栄養学、面談と評価について対策できます。会場での受講は年に一度。こちらは関東と関西の2会場での開催となるので、受講をお考えの方は公式HPで確認してみてください。
NSCA-CPT資格取得が目指せる
パーソナルトレーナー養成スクールを探す
NESTA-PFTと並びパーソナルトレーナーのメジャー資格として知られ受験資格はそれほど厳しくはありません。但し合格率が65%と決して高くは無く、トレーニング知識に加えスポーツ障害学やスポーツ生理学など幅広い知識が必要となるのでトレーナー系の資格の中で最も難しいと評価されることもあります。
パーソナルトレーナーはもちろん多くのフィットネスインストラクターやスポーツ指導者がこの資格を取得し、2017年現在で日本では約3,600名のNSCA-CPT保持者が活躍しているとされています。スポーツ指導者の資格として知名度が高いので、資格取得後にフリーパーソナルトレーナーとしてフィットネスクラブと契約したり、個人ジム経営をスタートする人もいます。
NSCA-CPTを取得しないとパーソナルトレーナーになれないということはありません。しかしフィットネスクラブによっては採用条件の中に資格取得が入っているケースもあり、自らの能力の客観的な証明にもなるので、パーソナルトレーナーとして継続的に仕事をしたい場合には取得しておいて損はないでしょう。
NSCA-CPTを取得すると、さまざまなメリットの恩恵を受けることができます。それらメリットの中でも、特に注目すべきが「キャリアパスの形成」と「NSCAの会員特典」です。それぞれ具体的に見ていきましょう。
パーソナルトレーナーの多くは、まずジムとの直接契約による従業員として仕事をスタートさせます。社員や契約社員、アルバイトなどの雇用形態です。
しかしながらパーソナルトレーナーの仕事の醍醐味は、「フリーになると収入を大きく上げられる可能性がある」こと。最初は従業員として働きつつも、いつの日かフリー契約や独立開業を実現することが、多くのパーソナルトレーナーの目標でしょう。従業員からフリー契約トレーナーへとステップアップしていく道筋を、キャリアパスと言います。
理想のキャリアパスを実現するためには、単にパーソナルトレーナーとしての経験を蓄積するだけでは足りません。経験者であるとともに、信頼ある資格を持っていることが必須です。
パーソナルトレーナーの資格には複数の種類がありますが、それらの中で最も信頼されている資格がNSCA-CPT。1996年よりNCCA(全米大学体育協会)から、国際的に最も信頼性の高いパーソナルトレーナーの認定資格であると承認されています(※1)。経験者が理想のキャリアパスを実現するための前提となる資格、と考えて良いでしょう。
NSCA認定トレーナーを名乗るためには、NSCA-CPTの資格を取得することに加え、NSCAに会員に登録することが必要となります。年会費は有料(年間1万円台)ですが、年会費をしのぐ様々な特典を受けられる点が、NSCAの大きな魅力です。
NSCAが独自で発信している機関紙を閲覧できるようになります。世界最新のトレーナー情報や、仕事に役立つ特集記事など、パーソナルトレーナーとして知っておきたい貴重な情報が満載の機関紙です。
NSCAでは、定期的にパーソナルトレーナー向けのセミナーを開催しています。NSCA会員の場合、割安の会員料金でセミナーに参加することが可能。会員同士の交流の場にもなるでしょう。
NSCAは、年に一度のペースで、会員向けの海外研修を行っています。研修場所はフィットネスの本場でもあるアメリカ。現地の大学などで世界最新の知識・技術を身に付けられる貴重な機会です。経歴にも箔が付くことでしょう。
なおこの海外研修は、旅費は参加者の自己負担(30万円弱)となるものの、現地での講習費用については全額NSCAジャパンが負担します。審査を経て合格した会員のみ参加することが可能です。
NSCA-CPTを取得すると、多くの方がフィットネス業界での働き方に幅がでます。また、この資格はパーソナルトレーナーとして上を目指すための資格ですので、多いのはパーソナルトレーナーとして働く方が多いでしょう。他にも、スポーツジムやフィットネスクラブで契約して働くという方法もあります。さらに個人でジムを開業して完全に独立することも選択肢に入るでしょう。
しかし、これらの働き方は、経験があってこそできるものです。実績がないと完全に独立するのは現実的ではないので、パーソナルジムで働いて、パーソナルトレーナーとしての実績を積むことからスタートする人が堅実な道のりだと言えるでしょう。
NSCA-CPTを取得するためには、独学で勉強をする他にも、大学や専門学校に通って資格を取得するという方法があります。特に独学の場合には、教えてくれる教師がいないため、より効率的に勉強しておかなければいけないでしょう。
おすすめの勉強方法は、教科書と問題集を購入して勉強するという一般的な方法です。まずはテキストを見ずに問題を解いていき、どの問題はすでに理解できているのか、また間違いやすそうな問題をチェックしておきます。
実際に問題を解いて採点をしていき、間違える可能性が高い問題から、教科書を良く調べて勉強。この順番を繰り返していくことで、試験対策に繋がります。また、独学の場合には分かっている問題よりも、間違えた問題がなぜ間違っているのかよく理解するようにしましょう。分からない問題があるなら、教科書とよく照らし合わせて、何が間違っているのか完全に把握できるようにします。
もし独学では厳しそうと判断するなら、受験対策講座が開催されていることもあるので、講座が開かれている日時を調べてみるのも一つの手です。
結論から言うならば、パーソナルトレーナーには資格は必要がありません。パーソナルトレーナーという職業に国家資格がないからです。NSCA-CPTも良く認知されている資格とは言っても、民間の団体が発行している資格になるので、必須ではないのです。
例えば、すでに個人のジムで知識や経験を持っているトレーナーや他の団体の資格を持っているならば、あえて新たに取得する必要性は低いでしょう。ですが、未経験・実績がないといった人が新たにフィットネスクラブなどで働きたいなら、一定のスキルを証明するものとしてNSCA-CPTを取得するのはおすすめです。